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ウェストポイントをたずねて〜Duty・Honor・Country〜

ニューヨークからハドソン川に沿って緑豊かな丘陵地帯を北に一時間ほど車を走らせると、中世の城塞と見紛う壮麗な建築物に行きあたります。United States Military Academy、通称ウェストポイント。日本語ではしばしばアメリカ陸軍士官学校と訳される、アメリカ陸軍の幹部候補を養成する四年制教育機関です。今回は、日本人学生有志で企画したツアーで訪れたこの学校について書こうと思います。


ウェストポイントは、十九世紀初頭に創立されて以来、数々の著名な卒業生を送り出してきました。そのうち、日本で一番有名なのはダグラス・マッカーサーでしょう。しかし、マッカーサーが三十代でこの学校の校長を務めたことはあまり知られていません。マッカーサーは有能な校長先生だったようで、歴史学・社会学の重視や、体育競技の振興といった改革を実施しました。冒頭に掲げた「Duty・Honor・Country」のモットーも彼の手によるものだそうで、敷地内のあちこちに掲げられています。

敷地内にあるマッカーサーの銅像

軍という組織が軍事のみならず社会的に非常に大きな地位を占めているアメリカでは、ウェストポイントも単なる軍人養成学校に留まりません。ウェストポイントは、2人の大統領や18人の宇宙飛行士のみならず、ビジネス界にも卒業生を輩出する、全米有数のエリート校です。入学時の倍率は十倍以上にのぼり、合格するためには、ハーバードのような一流大学にも入学できるような成績に加え、上院議員または下院議員からの推薦状が必須です。


ウェストポイントのキャンパスは、教育機関としては全米屈指の広さを持つらしく、移動には車が欠かせません。敷地内はさながら一つの街のようで、三ッ星ホテルからスーパー、教会、学校まで揃っています。この敷地は、学校になる前は要塞として使われていたそうですが、統一感のある石造りの建物群は、ここが軍人を養成する学校であるということを忘れてしまうような美しさです。


教育のメニューも充実しており、約四千人の生徒に約千人の教官がつきます。クラスの人数が二十人弱を超えることは認められていないそうで、少人数で濃密な教育が行われています。もちろん、座学だけでなく厳しい戦闘訓練も行われるそうで、卒業までにはおよそ15%が様々な理由で辞めていくそうです。また、女性の進出も盛んで、生徒のおよそ4分の1が女性です。敷地外にあるミュージアムには、ウェストポイントの女性卒業生としては初めての戦死者の肖像画が飾られていました。

ミュージアムに展示されている日本の降伏文書

ウェストポイントに限ったことではありませんが、日本と比べると、アメリカにおける軍隊の社会的ステータスの高さは目を見張るものがあります。ウェストポイントが高校生の間で人気の受験先であるのも、雇用の安定や待遇の良さの他に、軍というものの社会的地位の高さも大きく影響していると思います。それは、第二次大戦以降ほとんど途切れることなく世界各地の紛争に従事してきていることの裏返しですから、手放しで称賛できることでもありませんが、日本との環境の差をこうして自分の目で見られるのは、アメリカでしかできない経験です。

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